日本人はアイコンタクトをとられると「近づきがたい」と感じる ―より円滑な异文化コミュニケーションに向けて―研究成果

日本人はアイコンタクトをとられると「近づきがたい」と感じる |
平成25年3月14日
东京大学大学院総合文化研究科
1.発表者:
明地 洋典(日本学術振興会 特別研究員PD)
長谷川 寿一(东京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻 教授)
ヤリ?ヒエタネン(タンペレ大学(フィンランド) 教授)
2.発表のポイント:
◆成果:日本人が欧米人(フィンランド人)と比较し、アイコンタクトをとられるとその相手に対し「近づきがたい」「怒っている」と感じやすいことを示しました。
◆新规性:アイコンタクト行动には文化差があることが报告されてきましたが、その差は生理的な要因によるものではなく、アイコンタクトに関わる文化的惯习に起因する可能性が示唆されました。
◆社会的意义/将来の展望:アイコンタクトは社会的コミュニケーション上、不可欠です。今回の研究结果が、円滑なコミュニケーションを行うための糸口となることが期待されます。
3.発表概要:
东アジア人は欧米人に比べてアイコンタクトの频度が低いことが知られています。しかし、その文化差を生み出す生理?心理メカニズムについては知られていませんでした。
东京大学大学院総合文化研究科の長谷川寿一教授、同研究科博士課程 (現?日本学術振興会特別研究員PD)の明地洋典氏らの研究グループは、フィンランドのタンペレ大学のヤリ?ヒエタネン教授とともに、日本人とフィンランド人を対象とした実験により、アイコンタクトに対する感じ方に文化差があることを発見しました。
本研究グループは、电动液晶シャッター(注1)を通して、视线が正面向き、よそ向き、または目を闭じている他者の颜を画像ではなく実际に提示し、その际の心拍の変化や感じ方の违いについて记録しました。その结果、正面向きの颜がシャッターにより自动的に提示された场合、日本人もフィンランド人もよそ向きに比べて心拍数の减少が见られたため、生理的には文化差はありませんでしたが、心理评定においては、日本人はフィンランド人に比べて正面向きの颜をより「近づきがたい」「怒っている」と感じることが明らかになりました。
アイコンタクトは社会的コミュニケーションをとる上で不可欠であることから、今回の结果を念头に置くことで、コミュニケーション、特に异文化间の交流が円滑なものとなることが期待されます。今后は、この结果が、他の东洋?西洋の国々、また、日常の场面に一般化できるかどうかについて検讨していく必要があります。
図はこちら
図.电动液晶シャッターを通して実际の人の颜を提示し、心拍数と感じ方を测定した。视线が正面を向いている颜はよそ向きの颜と比べて、日本人?フィンランド人ともに、心拍数を减少させた(上)。しかし、日本人はフィンランド人に比べ、正面向きの颜を「近づきがたい」「怒っている」と评定した(下)。
4.発表内容:
① 研究の背景?先行研究における問題点
アイコンタクトに対する敏感さは、発达的にとても早い段阶から见られ、赤ちゃんはアイコンタクトをとっている人の颜をよく见ます。このような反応は生后2~5日でも见られるため、アイコンタクトへの敏感性は生まれながらにしてヒトに备わっているものであると言えます。一方で、アイコンタクトのとり方には文化差も存在することがわかっています。たとえば、日本人は、アメリカ人などの欧米人に比べ、アイコンタクトの频度が低いことが报告されてきました。このことは、アイコンタクトへの敏感さは生まれながらのものでありながら、その使用は环境の影响も受けるということを示しています。しかし、どのような生理?心理メカニズムがこのようなアイコンタクトの文化差を生み出しているのかについてはこれまで検讨されてきませんでした。
② 研究内容(具体的な手法など詳細)
明地らの研究グループでは、日本人とフィンランド人を対象に、それぞれ东京とタンペレ市で実験を行いました。それぞれの国の人の颜を実験刺激として、电动液晶シャッターを通して実际に人(モデル)の颜を提示しました。モデルの视线方向として、正面向き、よそ向き、また、目を闭じている条件がありました。そのモデルの颜を见ている间の心拍数変化の测定や、様々な心理评定を行いました。それぞれの国でモデルが异なるため、解析の际は、目を闭じている条件をベースラインとして扱い、モデルの颜の物理的特性の影响を统制しました。
その结果、文化(国)に関係なく、正面向きの颜はよそ向きの颜と比较し、心拍数の减少を引き起こし、心理评定の结果から覚醒度が高まる感じがすることが示されました。これは、アイコンタクトをとられると、文化に関わらず注意が高まると解釈されます。そのように、通文化的なアイコンタクトの効果が见られた一方で、アイコンタクトに関する文化差が心理评定において见られました。日本人は、フィンランド人と比べて、正面向きの颜をより「怒っている」「近づきがたい」と感じることが示されました。
③ 社会的意義?今後の予定 など
アイコンタクトは社会的コミュニケーションをとる上で不可欠です。今回の结果を念头に置くことで、コミュニケーション、特に异文化间の交流が、より円滑になることが期待されます。たとえば、日本人は西洋人と会った际、アイコンタクトが「怒り」を示すものではないと知っておいた方がよく、逆に西洋人は日本人と会った际、日本人があまりアイコンタクトをしないのは无意识に近づきがたい印象を与えないようにしている可能性を考えるとよいでしょう。今后は、この结果が、他の东洋?西洋の国々、また、日常の场面に一般化できるかどうかについて検讨していく必要があります。
5.発表雑誌:
雑誌名:「PLOS ONE」(オンライン版の場合:3月13日午後5時(米国東部夏時間)公開予定)
論文タイトル:Attention to eye contact in the West and East: autonomic responses and evaluative ratings
著者:Hironori Akechi, Atsushi Senju, Helen Uibo, Yukiko Kikuchi, Toshikazu Hasegawa, & Jari K. Hietanen
明地洋典、千住淳、Helen Uibo、菊池由葵子、長谷川寿一、Jari K. Hietanen
顿翱滨番号:箩辞耻谤苍补濒.辫辞苍别.0059312
アブストラクト鲍搁尝:
6.问い合わせ先:
<研究内容に関するお问い合わせ>
明地 洋典(日本学術振興会特別研究員PD)
7.用语解説:
(注1)电动液晶シャッター:
普段は不规则に并んでいるため光を拡散し、不透明であるガラスの液晶分子が、电圧がかかると同じ方向へ并ぶようになり、透明となります。本研究で使用した鲍惭鲍ガラスは、1ミリ秒という短い时间で不透明から透明へ変化します。
8.参考资料:
実际の実験状况とは少し违いますが、以下のような状况で、液晶シャッターを使い、実际に実験参加者とモデルとなる人が対面しました。