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デバイスのさらなる小型化に光 ―意外にも大きかった原子の悲鸣―研究成果

デバイスのさらなる小型化に光 ―意外にも大きかった原子の悲鸣―

平成24年10月22日

东京大学生产技术研究所

1.発表者
  石田  忠(东京大学生产技术研究所 特任助教(当時)
/現在の所属は东京工业大学大学院総合理工学研究科 助教)
  角嶋 邦之(東京工業大学フロンティア研究機構 准教授)
  溝口 照康(东京大学生产技术研究所 准教授)
  藤田 博之(东京大学生产技术研究所 教授)

2.ポイント
①原子配列の乱れである転位が金ナノ配线内部を移动するときに、大きなノイズを発生することを
発见したという成果を出した。

②原子配列の乱れである転位は机械的侧面からは解釈が进んでいたが、电気的侧面からはその解釈
はほぼ皆无であった。その状况において、特にナノサイズの构造では転位がもたらす影响が大きく
なり、転位が移动することで、电気信号に対して10%という非常に大きなノイズを与えるという知
见を得たことが新しい。

③本研究成果は新しいノイズ源の発见という意味で基础科学のみならず、応用的にも非常に重要で
あり、この问题の解决がさらなる多机能?高性能な电気机器の开発において大きなブレイクスルーとなると考える。

3.発表概要
电子机器を构成する配线やトランジスターのデバイスサイズは、ナノテクノロジーによってついに数十ナノメートルにまで到达し、今后もさらなる小型化による性能向上が期待されています。
ところが、デバイスのサイズが小さくなると、デバイスを构成する原子の全体数が少なくなるため、従来では问题にならなかったような原子サイズレベルの乱れが、デバイス全体に非常に大きな影响を及ぼすようになります。デバイスを构成する结晶构造には、しばしば原子配列の部分的な乱れである「転位」と呼ばれる领域があります。热や力が加えられると、転位付近の原子の结合が切断され、転位の位置がずれていくことが知られています。このような原子活动が电気的な性质に与える影响が、ナノメートルサイズのデバイスでは重要になります。しかし、このような微小领域で生じる现象を调べるのは非常に困难で、これまで、転位の移动とデバイスの电気的な性质との関係は全くわかっていませんでした。
东京大学生产技术研究所の石田忠特任助教らは、原子の結合が切れる際に原子が出す「悲鳴」ともいうべきノイズの検出に成功し、デバイスのサイズが10 nm以下になると、転位一つが動くことによるノイズが電気信号の約10%にも達することを発見しました。
研究グループは、尖った金针同士を押し付けて断面がわずか数十个の原子でできた接合部分を作成し、接点内部の転位移动による电流の振动を検出しました。今回、电子顕微镜にマイクロマシンを组み合わせた手法の开発によって、転位の移动の観测及びノイズの検出が世界で初めて可能となりました。
今后、このノイズの解决が、さらなる多机能?高性能な电子机器の开発の键となるでしょう。

4. 発表内容
①私たちの身の回りにはスマートフォンやスマート家电など、多机能?高性能な电子机器が普及し、私たちの暮らしを便利にしている。これらの多机能?高性能な电子机器が実现した背景にはナノテクノロジーの発展がある。ナノテクノロジーにより半导体デバイスの构造は数十ナノメートル(ナノメートル(苍尘)は10亿分の1メートル)にまで到达し、今后さらなる小型化による性能向上が求められている。しかし、サイズの小型化によってこれまであまり注目されてこなかった现象が重大な影响を及ぼすことが本研究により明らかになった。それが原子の活动に伴って発生するノイズである。
电子机器を使う时に温度が上昇したり力が加わることによって、微小な配线やトランジスターを构成する原子配列の部分的な乱れである「転位(注1)」とよばれる领域に力が集中し、ある临界値を超えると原子の结合が切断される。これまで、この転位の持つ机械的な役割は研究が十分になされてきたが、电気的な役割はほとんど研究がなされてこなかった。近年配线やトランジスターの小型化に伴ってそれを构成する原子数も少なくなったため、転位周りの原子が活动する际にノイズが発生すると考えられる。この転位周りの原子の活动により発生するノイズは転位の电気的な役割であるが、现象がナノメーターレベルの微小领域で発生するため、それを検出することができなかった。そこで我々は最新のマイクロマシンを透过型电子顕微镜の中で动かす新规な手法を用い、転位周りの原子の结合が切れる际に原子が出す「悲鸣」ともいうべきノイズを検出することに成功した。

②ナノメートルサイズの金(注2)の电気计测をしたところ、金の内部に存在する転位の动きにより抵抗
値が大きく変动しノイズが発生することがわかった。以下、详细を説明する。転位の动きと抵抗値の
変动を関连付けるためには、転位の动きを见る目と抵抗値の変动を计测するセンサが必要となる。そ
こで、我々は电子顕微镜を目として、マイクロマシンをセンサとして、互いを组み合わせることで、
転位の动きと抵抗値の変动を関连付けるための実験装置を构筑した。そして、その电子顕微镜の中で
マイクロマシンを动かし、マイクロマシンの持つナノメートルレベルで尖った针先同士を押し付ける
と、針の間に直径6.3 nmの金のナノ接合(注3)ができた(図1)。そのナノ接合に1 mVの電圧を加え
たところ、6 μA程度の電流が流れた(図2グラフとa)。電流計測中に、金のナノ接合内部の転位が
0.5 nm程度動いたときに、ナノ接合を流れる電流が0.7 μA程度振動した(図2グラフとc)。この電
流の振動は転位が動く0.5 秒前から始まり、転位が停止した0.5 秒後までの合計1秒間継続した(図
2グラフ)。さらにナノ接合内部で动く転位の数に比例して、この电流値の振动(=ノイズ)は大きく
なることもわかった。
抵抗値は寸法や材料で原则的に决まるわけだが、今回の発见により内部の原子が动くことでナノ接
合の抵抗値が大きく変动することがわかった。具体的には、数十个の原子でできたナノ接合において
たった一つの転位が動くだけで抵抗値が1割程変動した。このことは、デバイスのサイズが10 nmかそれ以下になるとノイズは電気信号の約10%にも達することを示している。つまり本研究からデバイスのさらなる小型化のためにはこの転位周りの原子の活動を抑えることがキーになることが明らかとなった。

③电気製品がますます小型化?低电力化するにつれ、个々の原子の活动が电気素子の特性に与える影
响は非常に重要となる。温度上昇や外部から応力が加わると、転位领域の原子が活発に动くことは容易に想像できる。その际、発生するノイズが电気信号の一割にも及ぶことが分かった本研究成果は新しいノイズ源の発见という意味で基础科学のみならず、応用的にも非常に重要であり、この问题を解决することができれば、さらなる多机能?高性能な电気机器の开発につながると考える。

5.発表雑誌
以下のScientific Reportsの論文がネイチャーアジア?パシフィックの注目論文として、10月23日にネイチャーアジア?パシフィックのWebページに掲載される予定です。
Title: “Role of Dislocation Movement in the Electrical Conductance of Nanocontacts”
Authors; Tadashi Ishida, Kuniyuki Kakushima, Teruyasu Mizoguchi and Hiroyuki Fujita
Scientific Reports, 2, 623, 2012. Published 2012/9/3
URL: www.nature.com/srep/2012/120903/srep00623/full/srep00623.html

タイトル:「ナノ接点の电気特性に与える転移の挙动」
着者:石田忠、角嶋邦之、沟口照康、藤田博之
サイエンティフィック?レポーツ、2号、记事番号623、2012年。2012年9月3日掲载。

*英論文誌Scientific ReportsはNature Publishing Groupが発刊するオンラインオープンジャーナル(インターネット上で誰でも読める論文誌)です。

6.问い合わせ先
东京工业大学大学院総合理工学研究科
助教 石田 忠 (东京大学生产技术研究所 協力研究員)

7.用语説明
(注1)転位:金属や半导体は通常结晶と呼ばれる原子が规则正しく配列した状态にある。この规则
正しい配列に原子抜けや原子サイズのずれが生じた部分を転位と呼ぶ。転位は金属や半导体の
机械的な特性に大きく影响することは広く知られているが、电気的な特性に対して影响がある
かは知られていなかった。

(注2)金:金は様々なナノ构造を形成することができ、化学的に安定な材料である。そのため、
ナノテクノロジーの研究?开発において频繁に使用される材料である。

(注3)ナノ接合:ナノサイズで鋭い针と针を接触すると、接触部同士が融着し物理的に一つにな
る。そうして针と针の间に形成されたナノサイズの接合のことをナノ接合と呼ぶ。

9.谢辞
本成果は、日本学术振兴会 科学研究费补助金 特别推进研究 课题番号21000008 (研究课题名「惭贰惭厂と実时间罢贰惭顕微観察によるナノメカニカル特性评価と応用展开」、研究代表者:藤田博之)において得ました。

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