生物と机械を融合したバイオハイブリッドマシンを、日本先导で开発?普及する。| UTOKYO VOICES 060


生产技术研究所 機械生体系部門 / 大学院情报理工学系研究科 知能機械情報学専攻
教授 竹内昌治
生物と机械を融合したバイオハイブリッドマシンを、日本先导で开発?普及する。
蚊が人の汗の匂いに引き寄せられるように、匂いを感知して动く&濒诲辩耻辞;匂いセンサーロボット&谤诲辩耻辞;。竹内が开発中の、生物と机械が融合した世界初のバイオハイブリッドマシンだ。蚊の触角は、汗の匂いに感度良く反応する。その触角のタンパクを利用した匂いセンサーが组み込まれており、汗を感知すると电流が流れ、ロボットにフィードバックして动かす。
「人の呼気や尿にもいろいろな成分が含まれています。その成分を少量で见分けることができれば、ガンや糖尿病がわかるといわれており、バイオハイブリッドセンサーは、病気の予防や未病の発见に役立つと期待されます。さらに、人の汗だけでなく、爆弾や麻薬の匂いを検知できるものを开発できれば、その応用范囲はかなり広がります」
子供の顷から図工や体育が好きだった竹内。大学4年生の顷、ロボットを作りたいと思い、叁浦宏文教授の研究室に入ったところ「昆虫の行动の本质的な部分を抽出して昆虫规范型ロボットを作ってみなさい」と言われた。长时间昆虫を観察し続けたが、自分にはとてもこのような精细な动きは人工物ではできないと思い、昆虫のパーツそのものをロボットに取り入れる「バイオハイブリッド」なアプローチを提案。切り取った昆虫の脚を纸で作った胴体に糊を使って接着。电気刺激で脚の筋肉を収缩させ、纸の胴体ごと歩かせることに成功して以来、さらに研究にのめり込んだ。
ただ、自分の可能性が狭まるのが嫌だったので就活も行った。「修士2年の时、僕は何にでもなれると思い、映画监督を志して映画制作会社に电话したら『修士卒は採用していません』。そこで外资系公司を受け、いくつかの公司から内定をいただいたのですが、ハイブリッド昆虫ロボットのプレゼンをしたら『面白いね。なんで博士にいかないの』と言われました。また、アメリカの博士课程で别の研究をしようと思ったのですが、その面接でも『なぜ今の研究を続けないんだ』と寻ねられたんです」。
「确かにこの研究や考え方が面白くてたまらなかったので、心を决めて、下山勲先生の元で3年间研究して博士号を取得しました」。その后は、最も事业化に繋がった细胞ファイバー技术などの研究?开発を行い、谁もやっていないバイオハイブリッドマシンの先駆者になる。今では工学に加え、医学、生物学、化学、芸术など多彩なバックグラウンドを持つ研究者が所属する异分野融合型の研究室を主宰している。
最近、各界からバイオハイブリッドマシンの可能性が注目され始めたことを実感している。「日本は自然を克服し制御するというより、自然との共生を好むマインドをもっています。自然の力をうまく使い、融合し何か新しいものを生み出していくことがうまい。そこで、日本先导でバイオハイブリッドマシンの研究を体系立て、その可能性を広げていきたいと思います」。
「研究の面白さは、世界で初めて、今まで见たことのない事実に立ち会える喜びです。学生や研究员とミーティングした时に、新しい结果、新しいアイデアが出てくるとものすごく兴奋します。その瞬间の感动が、私の活力になっています」
研究室のロゴをあしらった明るくおしゃれなミーティングルームで、活発な议论が展开される。「モノトーンではなく、集うのが楽しくなるような场所を作りたかったんです」。
「ハイブリッドに考えていく。3人寄れば文殊の知恵。一人だけのバックグラウンドで研究するより、各自が持っているバックグラウンドを融合した方が新しいものを作り出すことができます」。

Profile
竹内昌治(たけうち?しょうじ)
2000年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、2001年東京大学生产技术研究所講師、2003年助教授。2014年同教授。この間、2004~2005年ハーバード大学化学科客員研究員、2005~2008年JSTさきがけ研究者、2008~2017年東京大学生产技术研究所バイオナノ融合プロセス連携研究センター長、2010~2015年JST竹内ERATOバイオ融合プロジェクト研究総括などを兼務。文部科学大臣表彰若手科学者賞、日本学術振興会賞等を受賞。
取材日: 2019年1月18日
取材?文/佐原 勉、撮影/今村拓馬