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难病を克服する医疗技术や薬を、基础研究からダイレクトに创り出す。| UTOKYO VOICES 048

掲载日:2019年3月22日

UTOKYO VOICES 048 - 大学院理学系研究科 生物科学専攻 教授 濡木 理

大学院理学系研究科 生物科学専攻 教授 濡木 理

难病を克服する医疗技术や薬を、基础研究からダイレクトに创り出す。

基础研究は「役に立つ」ことを目的とした研究ではない、とよく言われる。しかし濡木は、人の役に立ちたいという思いから基础研究を选んだ。

「生命科学の基础はずっと分子生物学が担ってきましたが、生命现象の根干に迫る构造生物学は『基础の基础』。そして、『基础の基础』は応用と表里一体なんです」

生体内のタンパク质や搁狈础などの立体构造を明らかにする构造生物学分野で、濡木は数々の成果を一流誌に発表し、世界を惊かせてきた。大きな成果のひとつが、2014年にゲノム医疗への応用が期待される「颁搁滨厂笔搁-颁补蝉9(クリスパー?キャスナイン)」の立体构造を明らかにしたことだ。

「构造や机能を明らかにすること」は基础科学そのものだが、同时に、构造や机能がわかれば、现时点では使い胜手や安全性にやや难のある颁补蝉9をより使いやすく安全なものに作り変える道筋が见える。たしかに、基础が応用に直结している。

濡木が参画するゲノム医疗ベンチャーではすでに、クリスパー?ガンダムと名付けられた改良型颁补蝉9の开発が进み、1~2年のうちに临床実験が始まる予定だという。

「ただ僕はもともと、ゲノム编集よりは『膜タンパク质』の立体构造解析に轴足をおいて研究してきたんです」

2012年には、立体构造解析がきわめて难しい膜タンパク质「チャネルロドプシン」の解析に成功。ネイチャー誌の表纸を饰った。チャネルロドプシンは神経科学の分野で、动物の脳机能マッピングなどに利用されている注目のタンパク质だ。もしこれを人间にも使えるように作り変えられれば、脳研究や神経疾患治疗は飞跃的に进展するだろう。濡木による构造解析はその扉を开いたのだ。

「膜タンパク质の构造解析は、创薬にも直接つながります。たとえば、がん干细胞の寿命を延ばしている膜タンパク质の构造やメカニズムがわかれば、それをブロックする薬をどうデザインすればいいかもわかってくるわけです」

子どものころには手塚治虫の『ブラックジャック』を爱読した。「病気や医疗に兴味があったんです。野口英世にも憧れましたね」。高校に上がると、人生の意义について深く思い悩むようになった。人は必ず死んでしまうのになんのために生きるんだろう。もがき苦しんでたどりついた答えが「人の役に立つことが、生きる意义になる」だった。

医学部に进んで医师になることも考えたが、既存の医疗技术や薬を使って人を救う仕事より自分自身で新たな医疗の可能性を拓いていくことに魅力を感じ、理学部の生物化学科へ。「基础の基础」である构造生物学に足を踏み入れた。

ゲノム编集技术を开発するベンチャーや、膜タンパク质の知见を创薬に応用するベンチャーなどいくつかのベンチャーを足がかりとして、濡木は不治とされてきた难病を根治する治疗技术や薬を作り出そうとしている。実现すれば、世界で何千万人、何亿人という人が救われる。基础研究からダイレクトに人の役に立つ研究へ。可能性は无限に开かれている。

写真:(小物)アクアリウム

Memento

西表岛の自然风景を彷彿とさせる见事な水槽。学生时代は生物学研究会に所属し、仲间と西表岛などの离岛や各地の海、山に生き物探しに出かけていた。「自宅には日本全国で採集したクワガタの标本もあります」

直筆コメント:基礎の基礎は応用

Maxim

「タンパク质の构造とメカニズムを解明する构造生物学は、生命现象を解き明かす基础中の基础であると同时に、脳科学、创薬、ゲノム编集のすべてにおいて医疗応用?产业応用のもととなる研究分野です」

プロフィール写真

Profile
濡木理(ぬれき?おさむ)

1993年东京大学大学院理学系研究科博士课程修了。同研究科で助手、助教授を务めた后、东京大学医科学研究所教授および东京工业大学教授を経て2010年より现职。齿线やクライオ电顕によるタンパク质や核酸の立体构造解析において世界をリードする成果を『狈补迟耻谤别』や『颁别濒濒』など数々のトップジャーナルに発表。贰诲颈骋贰狈贰などゲノム编集?创薬ベンチャーを复数立ち上げ、研究成果の医疗応用にも积极的に取り组んでいる。2018年紫綬褒章受章。

取材日: 2018年12月6日
取材?文/江口絵理、撮影/今村拓马

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