春雨直播app

FEATURES

English

印刷

细胞内の生々流転 医学の発展にも大きな期待がかかるオートファジー研究

掲载日:2014年5月22日

ここ10年で论文急増の注目トピック

キャプション:オートファゴソームが細胞質成分を取り囲む様子

図1:オートファゴソームが细胞质成分を取り囲む様子
Adapted by permission from Macmillan Publishers Ltd: Nature Cell Biology 12(9) September 2010, copyright 2010.
写真撮影:岸千絵子

生体では细胞そのものが入れ替わる一方で细胞の中身を构成する细胞质成分も入れ替わっています。后者の仕组みのひとつがオートファジーです(図1)。あるときは状态を维持し、またあるときはダイナミックな変化を引き起こしていく生命现象のカギを握る现象として、そして生物医学研究を推し进めるエンジンとして、大変な注目を集めています。オートファゴソームという细胞小器官が细胞质成分を取り囲み、消化酵素を包んだ袋であるリソソームと融合することで分解を行うオートファジーの研究が、东京大学大学院医学系研究科の水岛昇教授、东京工业大学フロンティア研究机构の大隅良典特任教授を笔头に、世界各地で盛んに行われています。

酵母で飞跃したオートファジー研究

「物质の合成」、すなわち、「どのようにものが作られていくのか」が研究の中心だった顷、物质が合成され、分解され、そしてまた合成されるという一连の流れに兴味を抱いていた水岛博士の视线は新陈代谢に注がれていました。当时はしかし、新陈代谢はきちんとした学问にはなっていませんでした。その重要性にもかかわらず、研究手法がほとんどなかったのです。

図2:オートファジーを学问に変えた大隅教授の论文 (c) 2014 東京大学

図2:オートファジーを学问に変えた大隅教授の论文
© 2014 東京大学


転機が訪れたのは1997年、大隅教授(当時:基礎生物学研究所 教授)の論文を読んだときのことでした(図2)。酵母のオートファジーに関連する遺伝子を同定したと報告するという、どちらかというと地味な論文でしたが、実はこれこそオートファジーを学問にする嚆矢でした。顕微鏡を使った観察実験が主流だったところに、分子生物学的なアプローチの道が開かれたのです。オートファジーの研究が学問になると確信した水島博士は、すぐさま大隅教授のもとに向かうことを決めました。

大隅教授のもとで研究を进めること数年、酵母オートファジー関连遗伝子の机能が明らかになっていきました。また、それら遗伝子の多くは哺乳类や植物などに备わっていることもわかり、その后のオートファジー研究の大跃进につながりました。

哺乳类のオートファジーと医学

医师でもある水岛教授は、研究当初から哺乳类への応用を见据えていました。しかしそこにも、研究手法が确立されていないという问题がありました。突破口となったのが、2004年の水岛教授らによる2つの成果、全身のオートファゴソームが蛍光で光るマウスと、オートファジー遗伝子が働かないマウスの创出です(図3)。クラゲの遗伝子を利用してオートファゴソームを光らせてしまおうとうアイデアが、生きたまま、リアルタイムでの観察を可能にしました。これとノックアウトマウスを组み合わせることで、オートファジーの机能をつぶさに调べることができるようになったのです。

図3:水岛教授のもとで创出され、世界中に输出されている「オートファゴソームが光るマウス」
© 2014 水島昇
Mizushima et al. Mol. Biol. Cell (2004).

それまで酵母でわかっていたオートファジーの役割は、飢饿时の生存维持や胞子形成のために、いまある物质をリサイクルしていくという「変化?适応のためのオートファジー」であり、その机能は哺乳类の発生などでも确かに重要でした。しかし、オートファジーにはもう一つの侧面「新鲜さを保つためのオートファジー」があることも水岛教授は明らかにしました。これは、细胞中のゴミを扫除するというものですが、これがきちんと机能しないと、神経変性疾患になってしまいます。ということは、これを机能させるような薬ができれば、それらの病気に対処できるということでもあるのです。

さらには、がんの创薬ターゲットとしても注目されています。がん细胞のオートファジーを止めてしまうことで、がんを杀してしまおうという作戦です。人类最大の敌ともいえるがんが相手なだけにそう简単にはいきませんが、オートファジーへの依存度が他の细胞よりも高いがんが见つかれば、それに対する特効薬が登场する可能性があります、と水岛教授は力强く语ります。

共同研究への期待と展望

オートファジー研究の趋势が、医学との连携に向かうことは间违いないことでしょう。とはいえ、基础研究もまだまだ不足しています。特定の成分だけを分解する选択的オートファジーのメカニズムや生物学的意义、オートファゴソームの形成メカニズムなどは、まだ多くの研究课题が眠るフロンティアです。

水岛教授が研究室を东京大学に移した理由もここにあります。世界中の研究室と电子的につながることが可能になったいまでも、関连する研究室とのリアルな交流からはじまる研究は数多くあります。医学部内に限らず、理、薬、农、工学部などとの共同による多角的なアプローチを水岛教授は目指しています。

ヒトでの研究すらもあらかじめ视野に入れていたものの、これほどの可能性が埋もれていることまでは想定していなかった水岛教授は、「私がすごいのではなく、オートファジーがすごかったのです」と谦逊して话します。しかし、そんな水岛教授もまた、「変化のため」に大隅教授のもとへ、そして东京大学へと、常に移りゆくオートファジーのような存在といえます。オートファジー研究もまた、次の10年で大きく変化していくことでしょう。

取材?文:堀部直人

取材协力

水岛昇教授

リンク

アクセス?キャンパスマップ
闭じる
柏キャンパス
闭じる
本郷キャンパス
闭じる
驹场キャンパス
闭じる