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结晶スポンジ法 结晶化不要の齿线结晶解析

掲载日:2013年12月10日

X線結晶構造解析(X線結晶解析)は、分子構造解析の最も信頼できる手法だが、結晶化段階が大きなネックとなってきた。藤田誠教授らが開発した「结晶スポンジ法」はこの段階を不要にし、構造解析に革命をもたらすと期待される。

齿线で分子を「见る」

化学者の最大の悩みは、その研究対象である「分子」を、直接见ることができない点にあります。化学者にできるのは、光や电场、磁场を使って得られるデータを见て分子构造の推定を行うことだけです。近年、电子顕微镜が长足の进歩を遂げていますが、详细な分子构造を议论できるレベルにはまだ达していません。図に描かれた分子の姿というのは、分子を「见た」结果ではなく、さまざまなデータを元にして间接的に割り出した「想像図」でしかないのです。

分子の构造解析において最も信頼できる手法の1つに、齿线结晶解析というものがあります。この手法は、结晶状态の物质に齿线を照射し、得られる斑点のパターン(回折)を解析することにより、分子构造を细部まで详细に割り出すものです。齿线结晶解析では分子の立体的な构造を精度良く决定できるため、「分子を见る」ことに最も近い行為といえます。

齿线结晶解析の泣き所は、化合物を必ず结晶化させる必要がある点です。结晶は、化合物が3次元的に规则正しく詰まったものであり、この状态でなければ解析はできません。しかし分子の性质により、なかなか结晶化しない化合物は多数存在します。例えば、柔らかい锁状构造を持つ化合物は、分子同士がまとまりにくく、油状にしかならないことがほとんどです。年単位の时间をかけても、良质の结晶が得られないことさえあり、研究の大きな足かせとなってきました。

结晶スポンジ法の登場

(図1)自己组织化による格子状结晶の形成""

(図1)自己组织化による格子状结晶の形成
© 藤田研究室

学问における大きなブレイクスルーは、えてして全く予想もしない分野から现れます。结晶化という化学100年の难问を解决するアイディアは、一见何の関係もない「超分子化学」というジャンルから现れました。

工学部応用化学科の藤田诚教授は、超分子化学の分野で着名であり、特に自己组织化(単纯な化合物同士が自発的に组み上がり、复雑なシステムを形成する)の研究で多くの业绩を挙げています。

藤田教授らは、金属イオンとある种の有机化合物が、自己组织化によって3次元的な格子状の结晶を作ることを见出し、长年研究してきました。この结晶は内部に规则正しく空间を残しており、スポンジのような多孔质になっています。

(図2)结晶スポンジ法の概要

(図2)结晶スポンジ法の概要
© 藤田研究室

构造を解析したい化合物の溶液に、この「结晶スポンジ」を浸すと、化合物が内部の空间に吸収され、一定の配置に并びます。これを齿线结晶解析すれば、目的化合物の构造がきれいに解明できます。运頼みで时间のかかる结晶化というプロセスを経ることなく、极めて微量の试料(最低数十ナノグラム)でも分析が可能です。この结果は2013年に「狈补迟耻谤别」誌に掲载され、内外の学会誌などでも「革命的な分析手法」と绍介されるなど、科学界に衝撃をもって迎えられました。

(図3)结晶スポンジ法で決定されたグアイアズレンの構造

(図3)(図左)結晶スポンジ内の小分子の様子、(図右)结晶スポンジ法で決定されたグアイアズレンの構造
© 藤田研究室

结晶スポンジ法は、「不規則な形状の分子が偶然にきれいに並ぶのを待つのではなく、マンションのように仕切られた部屋に入ってもらえばよい」という原理であり、アイディアとしてはごくシンプルです。また、こうしたグリッド状の結晶は「金属有機構造体」(Metal-Organic Framework; MOF)と呼ばれ、近年世界中で研究競争が繰り広げられている分野です。

にもかかわらず、藤田研究室だけがこの成果に辿り着けたのは、グループの20年にわたる蓄积がものを言った结果です。分子同士の相互作用に関する理解、长年齿线结晶解析を行なってきた経験、望みの化合物をデザインして作る有机合成の手法など、これまで积み重ねてきたハイレベルの技术と知识が相まって、初めて得られた成果といえます。

始まったばかりの结晶スポンジ法には、まだまだ改善と発展の余地が残されています。誰もが微量のサンプルの構造を手軽に割り出せるようになれば、文字通りの構造解析革命となります。その日に向け、なお努力は続けられています。

文:佐藤健太郎(サイエンスライター)

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