明日の风が海に吹く 福岛冲で始まる浮体式洋上风力発电の実証研究

东日本大震灾による福岛第一原子力発电所の事故以来、再生可能エネルギーへの関心が一段と高まっています。原子力に代わるエネルギーとして世界的に期待されているのが「风力」です。世界の风力発电设备容量は2011年末に2亿3767万办奥(キロワット)に达しました。これは、2009年度日本の10电力会社が所有する电力设备容量の2亿396万办奥を超えています。
一方、日本では安定供给の难しさや発电コストの问题などで、风力発电の普及は难しいと言われ続けてきました。そのような状况にありながら、「日本にも洋上风力を」と、大学院工学系研究科社会基盘学専攻の石原孟教授が洋上风力発电研究に取り组みはじめたのは、2001年にコペンハーゲンで美しい洋上ウインドファームを见たことがきっかけでした。陆上の风力発电が盛んな欧米でも、今や洋上でのウインドファーム建设が进んでいます。
狭い日本、だが広い领海
洋上で风力発电を行うメリットの一つは、陆上よりも强い风が安定して吹いていることです。过去の気象データから算出したコンピュータシミュレーションによると、日本の洋上风力発电の赋存量(理论的に算出した利用可能なエネルギー量)は约16亿办奥にものぼります。これは、日本の电力会社が所有する电力设备容量の约8倍の大きさです。
福岛県いわき市冲の天然ガス田にとりつけた风速计で2年にわたって実测したところ、陆上の年平均风速が毎秒4.3メートル程度であるのに対し、洋上では毎秒7.4メートル、月最高毎秒9メートル以上の风が吹いています。発电量は风速の3乗に比例し、発电量に换算すると、陆上の5倍にもなることがわかりました。
国土が狭く平地の少ない日本の陆上では、风力発电设备の建设が难しいという课题も、洋上ならば解决できそうです。日本は、国土面积が世界で62番目であるのに対して、领海と排他的経済水域の面积は世界6位に数えられるほど広いのです。
ただし、日本沿岸は水深50~200尘の広大な大陆棚に囲まれ、急に水深が深くなる地形です。浅い海域が多い欧米では、海底に基础を筑いて风力発电设备を固定する「着床式」が主力ですが、水深50尘以上になると一気に建设コストが高くなるため日本沿岸には适していません。
洋上风力にはもう一つ、「浮体式」と呼ばれる方法があります。风车を洋上に浮かべる浮体式は水深100~200尘でもコストが殆ど変わらないので、日本にはこちらが适していると石原教授は判断しました。
実は日本の得意技术
こうして浮体式洋上风力発电という研究テーマが立ち上がると、风工学を専门とする石原教授が中心となり、学内での研究がスタートしました。洋上风力発电は関係する领域が幅広く、造船、海洋、机械、电気といった分野の研究者たちとの共同研究が进められました。
当初は、実现性が未知数の共同研究に难色を示していた公司も、いわき冲での実测データを示すと、洋上风力の可能性に兴味を持つようになりました。その结果、电力会社をはじめ、ゼネコン、造船会社、风车メーカーなどの公司が协力し、いよいよ実用化に向けた研究プロジェクトが立ち上がります。
风车のベアリングや発电机など、世界の风力発电では日本メーカーの技术が多数採用されてきた実绩があります。浮体式には欠かせない造船技术も日本の得意分野です。浮体式ウインドファームについては、风や海域の适性があるだけでなく、技术においても国内に十分な础があったのです。
福岛冲での実証研究が骋翱
そして、ついに政府も动き始めました。震灾と原発の被害を受けた福岛県の冲合に、世界初となる浮体式洋上ウインドファームを建设するプロジェクトに、第3次补正予算案で125亿円を计上。2015年度までに3基の浮体式洋上风力発电を建设する実証研究が始まりました。もちろん、石原教授はこのプロジェクトの仕掛け人であり、中心人物です。
「福岛県冲は、风の强さ、水深、建设に适した広さなどあらゆる面で最适で、10年ほど前から有力な候补地として注目しました。しかも福岛県では原子力や火力の送电系统を利用できるので、送电コストも大幅に削减できます」と、石原教授は福岛冲のメリットをあげます。実は、福岛冲での研究は震灾以前から进んでいました。当初は2011年度から5年がかりで実証研究にこぎつけようという计画でしたが、震灾により一気に実証研究が始まったのです。
福岛冲のウインドファームは、再生可能エネルギーの新たな可能性を世界に先駆けて示すにとどまらず、福岛県の产业復兴に繋がるものとしても期待されています。
洋上风力に使われる风车のブレード(羽根)は1枚80尘、タワー部分は120尘。立てれば高层ビルほどの高さがあり、これほど巨大な风车を离れた场所で製造して输送することは不可能です。そのため、製造?组み立て拠点は、设置する海に近い小名浜港が予定されています。こうして地元に雇用が生まれ、経済基盘として成长するでしょう。福岛県は震灾后、「2040年までに県内で使用するエネルギーすべてを再生可能エネルギーにする」ことを宣言しています。
再生とエネルギーシフトの象徴に
実証研究にあたって、もう一つの课题が渔业との共存です。ウインドファームに适した海域は、同时に豊かな渔场でもあるからです。浮体自体を集鱼などに利用した「海洋牧场」にし、安定的な渔场に育てる一石二鸟も可能だと石原教授は考えます。
「今、100万办奥规模での実用化を视野に入れ、さまざまな分野から研究を进めています。私たちは21世纪の新しい社会基盘づくりを目指しており、世界最大のライザーケーブル、倾斜や揺れにも耐えうる変电设备、浮体式観测システム、高性能钢材、安全性?信頼性?経済性の高い浮体式洋上风力発电システムなど、各分野の先端技术は今后ますます重要になってきます。今年4月に次世代风力発电システムの创成寄付讲座も设置し、世界最先端の洋上风力発电の研究?教育を行うと共に、各国との共同研究も积极的に进めたいと考えています」と、石原教授は将来计画を描きます。文字通り“风を読み”、次世代エネルギーシフトの追い风となるべく、新たな风を起こそうとしています。
(取材协力 サイテック?コミュニケーションズ)
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