栽培化の过程で捨てられてしまった植物の実力 植物免疫メカニズム「レクチン抵抗性」の存在が明らかに

病原体から身を守るため、植物は独自の免疫システムを高度に进化させてきました。例えば、あるウイルスが植物细胞内に侵入すると、そのウイルスを认识する「抵抗性遗伝子」が、细胞?细胞组织?个体レベルで、抵抗物质の分泌や细胞死などの多様な対抗手段を発动させます。

緑色蛍光タンパク质を导入した光るウイルスをシロイナズナに接种した。闯础齿1を持たない植物(下)は,ウイルスが全身に感染したが,闯础齿1遗伝子を発现している植物(上)はウイルスが全く感染しなかった。
Yasuyuki Yamaji et al., "Lectin-Mediated Resistance Impairs Plant Virus Infection at the Cellular Level" The Plant Cell, February 2012 vol. 24 no. 2 778-793. Copyright
一方、ヒトや动物では「レクチン」というタンパク质が、エイズウイルスを含む复数のウイルスへの抵抗性を示すことが知られています。植物においても、细胞内でレクチンタンパク质が多量に蓄积されていることは分かっていましたが、免疫におけるレクチンの働きは分かっていませんでした。
东京大学大学院农学生命科学研究科の山次助教と难波教授らは、レクチンが植物においてもウイルス抵抗性を示すことを初めて明らかにしました。さらに、その抵抗反応が既知の植物免疫システムとは异なる新しいシステムであることを突き止め「レクチン抵抗性」と名付けました。
研究グループが発见した「闯础齿1」というレクチン遗伝子は、たったひとつの遗伝子で重要な农作物に被害をもたらす复数のウイルスに広域的に抵抗する、强力な抵抗性遗伝子だと分かりました。さらに、既知の免疫システムを妨害するような処置を施しても、闯础齿1は影响を受けずウイルス増殖を阻害しました。つまり、闯础齿1はこれまで知られていなかった未知の免疫システムとして机能していたのです。
闯础齿1は、シロイヌナズナの野生系统の中から発见されました。しかし兴味深いことに、シロイヌナズナでも昔から実験用に选抜を続けてきた系统ではこの遗伝子は消えていました。研究グループの难波教授は「私たち人类は作物の栽培化の过程でひたすら品质に着目する余り、この强力な広域抵抗性遗伝子を捨て去ってきたのかも知れません。」と述べています。
植物レクチンは非常に多くの种类からなるレクチンファミリーを构成していることから、他のレクチン遗伝子のなかに病原体抵抗性を持ったものが存在する可能性もあります。今回の発见は、农作物の病原体被害を食い止める画期的な技术开発につながるだけでなく、植物の生态を解明する基础科学にとっても非常に大きな一歩です。
(広報室 南崎 梓, ユアン?マッカイ)
论文情报
Yasuyuki Yamaji, Kensaku Maejima, Ken Komatsu, Takuya Shiraishi, Yukari Okano, Misako Himeno, Kyoko Sugawara, Yutaro Neriya, Nami Minato, Chihiro Miura, Masayoshi Hashimoto and Shigetou Namba,
“Lectin-Mediated Resistance Impairs Plant Virus Infection at the Cellular Level,”
The Plant Cell, February 2012 tpc.111.093658, doi:10.1105/tpc.111.093658