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重金属フリー贵罢型反応の発见 二酸化炭素から人造石油合成の新展开を期待

掲载日:2020年8月21日

ホウ素を用いる金属フリー人造石油合成に向けて
 
 
非金属のホウ素を用いて贵罢法类似の反応の进行を确かめた。石炭や天然ガス、あるいは二酸化炭素からの人造石油合成の加速が期待される。
© 2020 野崎 京子

東京大学大学院工学系研究科の野崎京子教授、パル?シュリンワツ特任助教らはホウ素を触媒に用い、 一酸化炭素をつないで炭化水素鎖(石油成分)をつくる反応が室温で進行することを発見しました。すなわち、水素とホウ素の結合をもつ物質を共存させると、炭素とホウ素の結合に一酸化炭素が連続して挿入し、炭化水素鎖(石油の成分)になることを見つけました。本研究成果は、2020 年 8 月 7 日(米国時間)に米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版で公開されました。

フィッシャー?トロプシュ法(贵罢法)は一酸化炭素と水素の混合物(合成ガス)から、石油代替となる合成油をつくる一连の过程で、もともとは1920年代にドイツで开発されました。合成ガスは一般に天然ガスや石炭と水から作られますが、もし再生可能エネルギーを用いて水素を容易に入手できれば、二酸化炭素と水素からも合成可能です。そこで最近、贵罢法は、二酸化炭素から人造石油をつくるキーテクノロジーとして注目を集めています。

贵罢法の触媒としては鉄やコバルトなどの重金属が用いられています。现状、高温の反応条件(最低でも200℃以上)が必要なためエネルギーの消费が多く、さらなる効率化が望まれています。今回、研究グループは重金属を一切使わないで、贵罢法に类似の反応が进行することを见つけました。すなわち、重金属の代わりにホウ素(石の成分)を用い、水素ではなくより强力なヒドリド还元剤を用いてではありますが、室温での炭素锁の伸长を确认しました。全く新しい触媒设计の方向性を示せたことで、今后、持続可能なプロセス开発に向けての研究の加速が期待されます。

「私は30年以上金属の触媒作用に注目して研究してきましたが、今回の発见は非金属であるホウ素でも金属と同様に働くことを示す兴味深い结果だと思います」と野崎教授は话します。「これからも化学者の武器である周期表を駆使し、元素それぞれの个性を活かして、役に立つ(かも知れない)反応の开発を目指したいですね」と続けます。

论文情报

Andreas Phanopoulos, Shrinwantu Pal, Takafumi Kawakami and Kyoko Nozaki , "Heavy Metal-Free Fischer-Tropsch Type Reaction: Sequential Homologation of Alkylborane Using a Combination of CO and Hydrides as Methylene Source ," Journal of the American Chemical Society : 2020年8月7日, doi:10.1021/jacs.0c06580 .
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