春雨直播app

ARTICLES

English

印刷

雷がもたらす强力なガンマ线フラッシュ 地上での放射线量の测定に初めて成功

掲载日:2019年8月8日

地球ガンマ线フラッシュがもたらす地上での放射线量
东京电力柏崎刈羽原子力発电所に设置されている9台のモニタリングポスト?高线量计で计测された地上での放射线量。高い放射线量が测定された周辺で地球ガンマ线フラッシュが発生したと推定される。国土地理院地図を用いて作成。
© 2019 和田有希

東京大学大学院理学系研究科和田有希博士課程学生、京都大学白眉センター榎戸輝揚特定准教授、名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構中澤知洋准教授、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構牧島一夫上級科学研究員 (東京大学名誉教授) らの研究グループは、雷放電に伴って放出された瞬間的で強力なガンマ線フラッシュを、新潟県柏崎市で運用している複数の放射線検出器で測定することに成功しました。本成果は米国物理学会の速報誌Physical Review Lettersに8月7日 (日本時間) オンライン掲載されました。

雷から発せられる强力なガンマ线は1990年代より観测されており、「地球ガンマ线フラッシュ」と呼ばれています。これまで地球ガンマ线フラッシュは、そのほとんどが地球を周回する人工卫星によって観测されており、雷云から上空へ向かって「上向き」に放出されるものと考えられてきました。一方で近年の観测では雷云から地上へ向かって放出される「下向き」の地球ガンマ线フラッシュも见つかってきました。しかし、下向きの地球ガンマ线フラッシュではガンマ线が発せられる场所から検出器までの距离が近いためガンマ线の强度が大きく、通常のガンマ线検出器では地上での放射线量を正确に测ることは困难でした。

2017年11月24日、新潟県柏崎市の东京电力柏崎刈羽原子力発电所に研究チームが设置しているガンマ线検出器が、雷放电と同时に下向きの地球ガンマ线フラッシュの兆候を捉えました。同时に、东京电力が设置している复数のモニタリングポストの高线量计が反応し、地球ガンマ线フラッシュの発生を确认しました。地上に到达したガンマ线の量は研究グループの検出器の测定范囲を大きく超えるものでしたが、モニタリングポストの高线量计の测定可能范囲内であり、初めて地上での放射线量を测定することに成功しました。シミュレーションと観测データを比较することで、発电所の上空2500メートルで雷によって电子が下向きに加速され、その制动放射ガンマ线が地上に届いていることが明らかとなりました。

地球ガンマ线フラッシュは数百マイクロ秒という极めて短い时间に电子を加速させることで、大量のガンマ线を発生させる现象です。しかし、大気中で大量の电子をどのように加速させるかなど、その発生メカニズムには多くの谜が残されています。従来の人工卫星による観测では、1-2台の卫星でしか観测できず、得られる情报が限られていました。今回、下向き地球ガンマ线フラッシュを地上で精密に测定できたことで、卫星観测と比べて复数の测定器を容易に设置できる地上観测で、地球ガンマ线フラッシュの研究を有利に进められることを示したものです。

今回の事象では、高線量計で測定した地上での放射線量は最大で1.4 マイクログレイであり、胸部X線レントゲンの0.1回分よりも少ない値であることから、人体への影響はないと考えられます。一方でガンマ線の発生点により近い上空では、地上よりも高い放射線量となることが懸念され、航空機で雷雲の中を飛行した際の被爆のリスクも考えられます。研究グループでは地球ガンマ線フラッシュの研究を通して上空における放射線量の推定も行い、被爆の可能性についても評価する予定です。

「复数の高线量计で计测した高品质なデータによって、地球ガンマ线フラッシュの正体を垣间见ることができ、とても兴奋しています」と和田大学院生は话します。「今后は専用の検出器を开発し、地上からの観测をさらに発展させるとともに、フランスとの国际协力で2020年に打ち上げ予定の雷観测卫星罢补谤补苍颈蝉も駆使し、地上と宇宙の両方向からガンマ线フラッシュの谜に取り组んでいきたいです」と続けます。 

论文情报

Y. Wada, T. Enoto, K. Nakazawa, Y. Furuta, T. Yuasa, Y. Nakamura, T. Morimoto, T. Matsumoto, K. Makishima, and H. Tsuchiya, "Downward terrestrial gamma-ray flash observed in winter thunderstorm," Physical Review Letters: 2019年8月7日, doi:10.1103/PhysRevLett.123.061103.
論文へのリンク ()

関连リンク

アクセス?キャンパスマップ
闭じる
柏キャンパス
闭じる
本郷キャンパス
闭じる
驹场キャンパス
闭じる