过去の「超温暖化」を终息させたメカニズム インド洋の深海堆积物に记録された海洋生物生产フィードバック


海洋生物生产フィードバックの概念図
温暖期に海洋表層のプランクトンによる生物生産が活発になり、大気−海洋表層の二酸化炭素が有機物となって海底へ沈降します (輸送生産性の増大)。有機物の一部は途中で分解され、バライト(硫酸バリウム)が生じるため、輸送生産性が増大すると海底堆積物中に埋没する炭素とバライトが増えます。これにより、大気−海洋系から余分な炭素 (温室効果ガス) が効率的に除去され、大気中の温室効果ガスの濃度が低下して、温暖化状態から元の状態へと戻っていきます。
© 2017 安川 和孝
东京大学大学院工学系研究科の安川和孝助教と加藤泰浩教授らの研究グループは、约5600~5200万年前の前期始新世という时代に繰り返し発生した急激かつ短期的な地球温暖化イベントが、海洋の生物生产の増大により大気中の二酸化炭素が効率的に除去されたために终息したことを明らかにしました。本研究の成果は、人类の活动によって放出された大量の温室効果ガスが地球の环境や物质循环にどのような影响を与え、どのようにして元の状态へ回復していくのかを、数万年以上の长期スケールで予测する上で重要な知见となります。
前期始新世は、恐竜が絶滅した約6600万年前から現在までの新生代の中で、最も温暖な時代でした。この温暖な気候に加えて、さらなる温度上昇を伴う「Hyperthermals (超温暖化)」と呼ばれる、急激かつ短期的な地球温暖化イベントが繰り返し発生しました。その原因は、大量の温室効果ガスが急激に大気−海洋系へ放出されたためと考えられています。この「超温暖化」イベントの痕跡は、太平洋や大西洋、ヨーロッパや北アメリカなど世界各地から報告されているにも関わらず、インド洋においてはほとんど見つかっていませんでした。
本研究グループは、过去の国际深海掘削计画によりインド洋で掘削された深海堆积物コアから试料を採取し、化学分析を行いました。その结果、「超温暖化」イベントを示す炭素同位体比の明らかな异常が复数确认され、世界で初めてインド洋における「超温暖化」の痕跡を高时间解像度で復元することに成功しました。さらに、独立成分分析という手法を用いて、化学组成データを统计的に解析した结果、これらの「超温暖化」イベントにおいて、海洋表层の生物生产が増大して大気&尘颈苍耻蝉;海洋系から余分な二酸化炭素を除去する「地球システムの负のフィードバック」と呼ばれるメカニズムが働き、温暖化を终息させていたことが明らかとなりました。
「人类が现在放出している大量の温室効果ガスが地球环境にどう影响するのかを、数万年以上の长期スケールで正确に予测することは难しいため、过去の环境変动の记録を読み解くことが重要な键となります」と安川助教は话します。「今后、地球が持つ温暖化からの回復メカニズムをより详しく理解することにより、人类社会の时间スケールで私达が何をすべきかを示すヒントが得られるのではと期待しています」と続けます。
论文情报
Earth system feedback statistically extracted from the Indian Ocean deep-sea sediments recording Eocene hyperthermals", Scientific Reports Online Edition: 2017/09/12 (Japan time), doi:10.1038/s41598-017-11470-z.
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