発病の予兆を早期に検知する ラットにおける疾病のダイナミクスと状态迁移の解明


ラットにおけるアルコール依存状态への动的状态迁移
左侧は、生体システムの状态が、アルコール遮断前の安定な状态(青)から遮断中の不安定な状态(オレンジ)を経て、遮断后の过剰摂取状态(赤)に迁移する様子を表します。右侧は、それに伴って自発活动の概日リズムが、安定&谤补谤谤;不安定&谤补谤谤;安定と変化する様子を表します。
© 2017 Catarina Luis, Ikuhiro Yamaguchi, Yoshiharu Yamamoto.
東京大学大学院教育学研究科の山本義春教授、Jerome Foo(ジェローム?フー)研究員らの共同研究グループは、発病に至る生体の状態遷移(健康状態の動的な変化)の早期の予兆を、げっ歯類(ラット)を用いて、初めて明らかにしました。
発病を生体の内部状态の动的な迁移过程と捉える「动的疾患」という考え方、およびそれに基づく疾病のダイナミクスの研究が、発病や疾患段阶の変化の予测を可能とするのではないかと注目されています。しかし、実际にそうした予测をできるような密なデータの解析、およびその技法の开発は、未だ発展途上でした。
研究グループは、発病のモデルとして、动物(ラット)が自由にアルコールを摂取できる状态から、一旦アルコールの摂取を遮断した后、再び自由に摂取できるようにすると、アルコールの过剰摂取(依存状态)が起こるという「アルコール遮断効果」を用いました。
研究者らは14週间(8週间自由摂取の后2週间遮断し4週间再び自由摂取)に渡って、アルコール摂取および自発的身体活动の长期连続的かつ高解像度な「强縦断データ」を収集し、マルチスケールの计算论的方法で解析することにより、过剰摂取状态への迁移に先立って、遮断期第1週に、摂取パターン及び自発活动の约24时间周期の概日リズムの不安定化や超日周期リズム(数时间周期のゆっくりとした日内変动)の増加といった、早期の予兆と考えられる现象が起こることを见出しました。
この発见は、ウェアラブル/モバイル机器によって生体?行动シグナルを计测?记録する技术が急速に発展し、それらの「强縦断データ」を大量に収集することが可能となってきた今日において、极めて大きな意义を持ちます。すなわち、そのようにして収集した强縦断データに、今回の研究で开発されたような手法を适用していくことで、ヒトの発病?疾患段阶の変化を予测し、予防に役立てる道が开かれると期待されます。
「私达のアプローチによって、発病を生体の内部状态の动的迁移と捉える生物医学?生物物理学の研究は新たな一歩を踏み出せると考えています」と山本教授は话します。さらに、「このように强縦断データを精力的に解析していくことで、滨辞罢(モノのインターネット)时代の新たな予测医疗?ヘルスケアを生み出すと确信しています」と続けます。
なお、本成果はドイツ?マックスプランク研究所およびドイツ?中央精神卫生研究所との共同研究により得られたものです。
论文情报
Dynamical state transitions into addictive behavior and their early-warning signals ", Proceedings of the Royal Society B Online Edition: 2017/08/02 (Japan time), doi:10.1098/rspb.2017.0882.
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