硫酸化多糖类によってマラリア原虫の感染を抑えるメカニズムを解明 新规マラリア治疗薬开発へ


© Kentaro Kato. マラリア原虫メロゾイトが赤血球に侵入する際、ヘパリンなどの硫酸化多糖類がメロゾイトの先端部に結合する(図左)。メロゾイトの先端部には、侵入時に赤血球表面分子に結合する分子群が存在するが、このうちDuffy binding-like(DBL)タンパク質ファミリーやreticulocyte binding-like(RBL)ファミリーに属する多くの分子にヘパリンが結合することが分かった(図右)。そのため、ヘパリン存在下ではメロゾイト先端部と赤血球との結合が起こらず、メロゾイトは侵入することができない。
热帯热マラリアはハマダラ蚊によって媒介される感染症で、热帯地域を中心に世界中で深刻な健康危害をもたらしています。これまでにワクチンは実用化されていませんが、有効な予防薬、治疗薬は多数开発されています。しかし、薬剤耐性マラリア原虫が出现しており、さらなる薬剤の开発が求められています。加えて、ヘパリン等の硫酸化多糖类にはマラリア原虫の増殖を抑制する効果があるとの报告がある一方で、その増殖を抑制する仕组みは明らかではありませんでした。
今回、帯広畜产大学原虫病研究センターおよび东京大学大学院农学生命科学研究科の加藤健太郎らの研究グループは、硫酸化多糖类の一种であるヘパリンが、マラリア原虫メロゾイトの表面に存在する复数のタンパク质に结合することで、强力な侵入阻害を起こすことを明らかにしました。
本研究の成果は、将来硫酸化多糖类やそれに类似した化合物を用いたマラリア治疗薬の开発を进めるうえでの基础的な知见になるとともに、ヘパリンと同様の活性を持つ化合物を人工的に合成することができれば、有効な治疗薬となると期待されます。
论文情报
Kyousuke Kobayashi, Ryo Takano, Hitoshi Takemae, Tatsuki Sugi, Akiko Ishiwa, Haiyan Gong, Frances Recuenco, Tatsuya Iwanaga, Taisuke Horimoto, Hiroomi Akashi, and Kentaro Kato,
“Analyses of interactions between heparin and the apical surface proteins of Plasmodium falciparum”,
Scientific Reports Online Edition: 2013/11/12(Japan time), doi: 10.1038/srep03178.