世界初!シナプス形成の可视化で発见した「小さな突起」 自闭症など脳の発达障害の病态解明へ道


小脳のシナプスが形成される際に顆粒細胞の出力線維(赤)から伸びた『小さな突起』 © Aya Ito-Ishida
小さな突起は活発に伸缩し、受け手侧の构造であるプルキンエ细胞のスパインを取り囲む。それに伴い、スパインの构成分子であるデルタ2型グルタミン酸受容体(緑)の集积が促进し、シナプスが成熟することが示唆された。この顕微镜画像は、颁产濒苍1欠损マウスの小脳切片に、颁产濒苍1タンパクを作用させてから7时间后、生きたままの状态で撮られた。颗粒细胞とデルタ2型グルタミン酸受容体は、それぞれ异なる色调の蛍光タンパクで标识されている。
东京大学の冈部繁男教授?石田綾研究员と庆应义塾大学の柚﨑通介教授らは、発达期の脳で神経细胞同士がつながる仕组みを解明しました。
神経细胞は「シナプス」を介して结合し、脳の回路を形成しています。幼弱期の脳が多彩な机能を获得するためには、一つの细胞に数百~数百万个のシナプスが正确に作られることが必要といわれています。しかし、どのようにしてシナプスができるのか、その分子机构は不明な点が多く、神経科学の最大の课题となっています。本研究グループはマウスの神経细胞を用い、运动制御を担う小脳において、シナプスが形成される过程を可视化することに成功しました。その结果、シナプスの形成过程で神経线维から『小さな突起』が伸び、シナプスの成熟を促すことを、世界で初めて発见しました。さらに『小さな突起』は、颁产濒苍1(シービーエルエヌ1)という分泌因子と、デルタ2受容体、ニューレキシンの3つのタンパク质の相互作用により形成されることを解明しました。脳の正常な発达とその障害の原因を解明するために、シナプスの形成机构を理解することが必须です。『小さな突起』を见出した今回の知见は、そのための重要な一歩となると期待されます。
[PDF]
论文情报
Aya Ito-Ishida, Taisuke Miyazaki, Eriko Miura, Keiko Matsuda, Masahiko Watanabe, Michisuke Yuzaki, Shigeo Okabe,
“Presynaptically released Cbln1 induces dynamic axonal structural changes by interacting with GluD2 during cerebellar synapse formation”,
Neuron 2012/11/8, doi: 10.1016/j.neuron.2012.07.027.