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東京大学学術成果刊行助成 (東京大学而立賞) に採択された著作を著者自らが語る広場

白地の表紙の上部に古い宮廷装束の男たちの姿を描いた絵画の一場面

书籍名

近世后期の朝廷运営と朝幕関係 関白鹰司政通と学问のネットワーク

着者名

判型など

344ページ、础5判

言语

日本语

発行年月日

2025年3月17日

ISBN コード

978-4-13-026615-4

出版社

东京大学出版会

出版社鲍搁尝

学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)

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長らく統治権力を失っていた天皇の存在が幕末の政治舞台で浮上し、倒幕と王政復古が実現できた理由は何か。この変革過程を理解するためにはペリー来航以前?以後の動向を連続的に把握する視点が必要という問題意識から出発する本書は、19世紀前半の関白鷹司政通 (関白在職:1823~1856) が果たした役割に注目して時の天皇?朝廷をとりまく変化を分析する。
 
従来の幕末史研究のなかで、日米修好通商条约の勅许问题を契机とする天皇の政治的浮上の过程は、「鹰司家の朝廷支配」に対する天皇の抵抗として描かれてきた。长く朝廷に君临してきた政通は幕府への勅许に賛成していたが、政通の権势に対する孝明天皇の反発がトリガーとなって勅许が见送られたということである。
 
一方、近世後期朝廷の研究では、朝廷復古 (神事?儀式などの復古) に向けた天皇の熱意と、その背景となる思想形成過程が注目されてきた。しかし、かかる動きに関わる鷹司家の認識と対応は正面から問われていない。「鷹司家の朝廷支配」、つまり、摂家が天皇を規制してきた側面に重みをおく幕末史の研究と、天皇の復古意志に注目する近世後期の研究が嚙み合わない状態であったのである。近世後期から幕末にいたる朝廷の変化を連続的に捉えるため、本書が政通の思考と行動に注目する所以である。
 
政通の日记は、その関白在职期の过半を占める1830年代以降の分がほとんど伝来しない。かかる研究上の难局を突破するため、従来の研究でほとんど顾みられなかった史料群に着目したことが本书の特徴である。
 
まず一点目に、宮内庁書陵部などに伝来する鷹司家史料のうち、政通が朝廷の先例を調べて考証した備忘録の類などを活用することで、律令封禄 (位田?職田など) の再興や公家教育機関の設立といった構想が政通の主導で具体化されたことを明らかにした。朝廷のあり方に大きな変化を伴う天皇?公家たちの模索を政通が抑え込んでいたというよりは、むしろ政通自らが、かかる新しい模索およびその実現に向けた対幕府交渉を主導することで朝廷運営を掌握していったという視点を示した。
 
二点目に、天理大学附属天理図書館所蔵の古義堂史料を活用することで、政通が古義堂五代目の伊藤東峯 (伊藤仁斎の曾孫) と非常に親密な関係をもったこと、たびたび政通の諮問を受けた東峯の意見が政通の動き、ひいては朝廷運営に少なからぬ影響を及ぼしたことを明らかにした。古義堂と公家?朝廷の関係という、従来の研究史でほとんど認知されなかった側面に光を当てた本書の成果は、都市京都の学者層の視点から朝廷の動向を捉えなおす研究を本格的に始動させ、近世儒学?文学など隣接の学問分野にも貢献できると考えられる。
 
以上のように、本书は、幕末史のキーパーソンといえる鹰司政通を轴に近世朝廷研究の课题を解决しつつ、なお朝廷研究が学问?文化の面で更に広がる可能性を示したという意义をもつ。
 

(紹介文執筆者: 金 炯辰 / 2025年9月22日)

本の目次

序章 鹰司政通と近世朝廷研究の课题
 
第 I 部 朝幕関係および朝廷像の展開と鷹司政通
 第一章 昇进御礼使者の派遣と朝廷?幕府の思惑
 第二章 武家社会の朝廷像と公家文化への视线
 第叁章 律令封禄の再兴构想と関白鹰司政通
 
第 II 部 朝廷?公家社会における学問?思想の動向と鷹司政通
 第四章 仁孝天皇の和汉书物学习と公家社会
 第五章 古义堂五代目伊藤东峯と公家社会の交流
 第六章 天皇号?汉风諡号の再兴と古义堂伊藤家
 第七章 天皇?将军の没后称号选定と関白鹰司政通
 第八章 幕府天保改革への対応と教育机関の设立构想
 
终章 朝廷运営と鹰司政通の役割

関连情报

受赏:
2025年2月 第9回韩国外国语大学校日本研究所次世代研究者赏 韩国外国语大学校日本研究所

 
2024年4月 第5回東京大学而立賞 (東京大学学術成果刊行助成) 東京大学
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シンポジウム:
金 炯辰 (ソウル大学) 「実証よ神話になれ―近世朝廷?朝廷周辺における古代観のあり方―」 (民衆史研究会2024年度大会?シンポジウム 「再帰する〈古代〉―歴史のなかの古代観―」 於:早稲田大学戸山キャンパス33号館3階第1会議室 2024年12月22日)