
书籍名
道理と风俗 水戸学と文明论の十九世纪
判型など
308ページ、础5判
言语
日本语
発行年月日
2025年3月26日
ISBN コード
9784000616881
出版社
岩波书店
出版社鲍搁尝
学内図书馆贷出状况(翱笔础颁)
英语版ページ指定
「此国、今の风俗に染まり居て、心あわひも智慧の働きも、悉く其クルワを出[ず]」(「太平策」)と江戸时代の儒者の荻生徂徠が记しているように、人は、谁もが自分を取り巻く有限な世界、すなわち「风俗」の中で生きていますが、それに惯れ亲しむと、いつのまにかそれが谁にでも通用する「道理」だと考えがちです。このとき、异なる「风俗」を有する他者との遭遇は、人々に、自らがある特定の「风俗」の中にあることを自覚させ、それを相対化するきっかけとなります。たとえば徂徠の场合、父の「江戸払」により「风俗」の全く异なる「田舎」で青春期を过ごしたという経験が、「风俗」の差异と変迁を理解するための机会となったのですが、19世纪に入ると、当时の日本列岛に住んでいた人々は同时的にこのように异质な他者との遭遇を経験しました。通商その他の目的で来航したロシア、英仏、そしてアメリカなどの西洋诸国という他者が大きな存在として浮かび上がったのです。
异质な他者との遭遇は自他の「风俗」を意识化する机会であると同时に人々の従来信じていた「道理」の崩壊へとつながりかねない危机でもありました。たとえば、当时の人々が身につけていた儒教の华夷秩序的世界観は、西洋诸国を含む拡大した世界秩序をもはや十分に説明できなくなりました。こうした状况において、思想家たちは、普遍的な「道理」と固有の「风俗」といった儒学の概念と思想资源を用いて、西洋という他者を理解しようとしながら、日本の固有性、国民のあり方についても思索し始めました。本书の前半では、水戸学者の会泽正志斎と昌平黌の儒学者の古贺侗庵、中村正直を取り上げ、「道理」を再解釈しようとする过程で、视线を「风俗」へと転回させ、西洋という他者にありのままを直面するに至った徳川末期の思想家たちの思索の过程を描きました。
「风俗」への着目が进む中で、それを构成する民众の存在感も次第に大きくなっていきました。儒教的な思考方法においては、「风俗」の优劣はあくまで统治者による「政教」の结果とされていましたが、明治期に入り、文明开化の中で政治の重要な主体となりつつあった国民の智力、道理、そして感情などの诸要素が一国の「风俗」を左右するようになりました。このように「人心风俗」が激しく揺れ动く时代状况において、「风俗」を、谁が、どのように导くべきかという新たな课题が生じました。本书の后半では、明治期の「风俗」の改良という课题に対して、智识による「笼络」という方法を検讨した文明论者の福沢諭吉と「感情」を唤起する方法を提起した水戸学者の内藤耻叟の试みを分析しました。
19世纪の人々は、「风俗」の多様性を直视するからこそ、异なる人々が互いのつながりの中で生きていくための共通の土台、すなわち新たな「道理」を希求しました。このような「道理」と「风俗」の絶え间ない思索の往还は、今の时代を生きる私たちにも决して无縁ではないような気がするのです。
(紹介文執筆者: 常 瀟琳 / 2025年10月3日)
本の目次
第一章 「道」と「俗」の间――出発点としての会泽正志斋と古贺侗庵
はじめに 「正道」への志
第一节 「天人之"道」
第二节 「风俗」の差异
第叁节 「道」と「俗」の间
第四节 古贺侗庵―会泽正志斋との比较
第二章 「理」と「风俗」の间――徳川末期における中村正直の思想展开
はじめに 「理」と「风俗」の间
第一节 「国体」の再定义
第二节 中村正直の「理直」论
第叁节 アロー戦争の衝撃と「天道」の転覆
第四节 「理直」から「风俗」へ
第五节 西洋の风俗の探求
第六节 「风俗」论の発展と「天理」の再确认
第叁章 「笼络」の思想史――福泽諭吉と文明への途
はじめに 「风俗」の変容と人心「笼络」という课题
第一节 「笼络」の语源と徳川时代の用法
第二节 福泽諭吉の明治初年の「笼络」理解
第叁节 『文明论之"概略』における「笼络」论
第四节 「笼络」をもって「笼络」を打破する
第四章 「感情の时代」における「人心」と「风俗」――内藤耻叟の挑戦
はじめに 「感情の时代」へ
第一节 内藤耻叟、その人物と思想
第二节 祖述と差异―内藤耻叟の『明道论』
第叁节 「尊王攘夷」运动からの政治的な教训と明治期の挑戦
第四节 「理」と「情」の间
第五节 感情の善导
第六节 感情と学问
终章 「风俗」论のゆくえ
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